過去の登記相談Q&A

2018年02月01日

(第47回)[商業登記編]~資本金額5億円以上の合弁会社を設立する際の注意点~

司法書士大越一毅

~資本金額5億円以上の合弁会社を設立する際の注意点~

Q:当社は、A社との間で、合弁会社を設立し、ある事業を共同で行っていくことになりました。
 当該事業には資金が必要であるため、両社とも出資額を大きくし、合弁会社の設立時の資本金額は5億円以上を予定しています。
 その場合、通常の会社設立のケースと異なる点はありますでしょうか?

A:1.合弁会社の設立手続
 合弁会社を株式会社(以下「会社」といいます。)で設立する場合、出資会社全員が発起人(=設立時の株主)となり、出資会社間で締結した合弁契約書記載の出資金額を会社設立前に出資して設立します。
 会社の設立手続自体は、通常の株式会社設立手続と同様であり、100%子会社を設立する場合と大きく変わりはありません(具体的な手続の流れ、会社が発起人となる場合の注意点は、登記相談Q&A第15回をご参照ください。)
 なお、登記手続とは直接関係がありませんが、合弁契約書・合弁会社の定款につき、出資会社それぞれの取締役会で承認を得る必要がありますので、設立手続のスケジュールを検討する際には、当該取締役会の承認のタイミングも加味して行う必要がありますから、ご注意ください。

2.合弁会社設立登記書類の手配
 上記1.のとおり、合弁会社の設立手続は、通常の株式会社設立と変わりが無いので、設立登記に必要な書類も、通常の株式会社設立と大きくは変わりません。
 しかし、合弁会社の場合、出資会社の数が多くなるケースも少なく無く、その場合には、各出資会社における合弁契約書・定款の内容承認に時間を要し、設立時期の直前まで、役員を誰にするか等設立内容が流動的なケースも多いです。
 また、必要書類の捺印手配も、各出資会社において必要となるため、その取りまとめにも時間を要します。
 通常は、出資会社の内の1社が窓口となり、設立登記書類の取りまとめを行うことになると思います。
 したがって、窓口担当者は、設立登記を依頼する司法書士となるべく早いタイミングで連携を取り、定款の内容確定前であっても必要書類の案文を先行して作成してもらった上で、各出資会社の担当者と捺印スケジュールの調整を行っておくのがスムーズ宜しいかと考えます。

3.資本金額5億円以上の場合の注意点
 合弁会社設立時の資本金額が5億円以上の場合、設立時から大会社となり、会計監査人の選任が必要です(会社法2条6号)。
 したがって、設立時の定款内容につき会計監査人設置会社を前提とした内容とすることは勿論のこと、会計監査人となる監査法人から就任承諾書を取得する必要があります。
 会社設立後に資本金が5億円以上となった場合には、原則として、5億円以上となった後最初に到来する事業年度末に係る定時株主総会のタイミングで、大会社に移行する旨の対応(定款変更・会計監査人の選任等)をすれば足りるため、時間的猶予があります。
 一方で、会社設立時は、会社法435条により会社設立時の貸借対照表が基準となるため、設立時の資本金が5億円以上の場合には、設立当初から会計監査人の選任が必要です。
 当方の経験則上、監査法人が会計監査人の就任承諾書を発行する際には、監査法人内の承認等が必要となるため、時間を要する印象です。
 したがって、設立時の資本金額が5億円以上となることが見込まれる場合には、なるべく早期に、監査法人に会計監査人就任の打診をし、設立登記申請前に就任承諾書を発行してもらうよう、スケジュールの調整が必要です。
 もし、会計監査人の就任承諾書が、設立登記申請の予定日までに間に合わないという場合には、設立時は5億円未満の資本金額で一旦設立登記をし、設立後に募集株式発行(第三者割当増資)を行う形で追加出資するとの対応も検討する必要があります。

4.当事務所に依頼することのメリット
 合弁会社の設立は、通常の会社設立と大きく変わらないとはいえ、関係当事者の捺印スケジュール確保のために早期に必要書類を作成すべきである等、商業登記手続に慣れていないと、対応に苦慮するケースが少なくないかと思います。
 また、合弁契約書の作成等、弁護士に依頼・相談すべき事項もあります。
 当事務所であれば、弁護士と司法書士がそれぞれの専門分野の観点から、ワンストップサービスを実践しているというメリットがあります。
 本事例に限らず、合弁会社の設立を検討する企業がありましたら、お気軽にご相談ください。
 弁護士報酬・司法書士報酬については、当事務所のHPをご参照ください。
以 上